松江に来たからには、古事記を読まねばなるまい。島根東部は神話の国である。出雲大社はスグ隣にあって、松江のバスケットボールチームは「スサノオマジック」。オロチ饅頭はうまい。なのに、出雲もスサノオもオロチもよーわからんではおもしろくないのである。
っていう、妙な義務感に駆られて、やさしそうな古事記のマンガとか、子ども向けの本とかを図書館で漁っていた。この数週間で、だいたい4冊ぐらいは読んだと思う。お恥ずかしいことに、古事記に触れるのは初めてだった。でも、だからこそ、目からうろこな発見が多かった。日本神話なんて、なんとなーくしか触れてきていないから、意外と知らないことがたくさんある。せっかくなので、その辺りをちょっとまとめて書いてみる。あんまり知りたくないこともあるかもしれないから、知りたい人だけどうぞ。
神世七代が終わって、日本のアダムとイヴにあたるイザナギとイザナミが出てくる。この二人は天の沼矛ってのを授かって、それを使ってまだ形が定まっていない地上に島をつくる。そんで、そこに御殿をつくって子づくりをするのだけども、1回目は失敗するのである。その子どもは「ヒルコ」という。蛭のような子どもが生まれてしまったということで、現代風に言うと奇形児である。日本において、最初の男女が産んだのは奇形児だった。これは知ってる人は知ってるのだけども、知らない人にとっては意外なのではなかろうか。
で、そのヒルコはどうなるかというと、なんだったかでちっさい舟に乗せられて流されてしまう。『17歳のための世界と日本の見方』によると、流されたヒルコはその後、七福神のエビスさんになっていくらしい。この転身っぷりもなかなかおもしろい。日本は奇形児を放っておかなかったのだろう。
さて、1回目を失敗したイザナギとイザナミは2回目もがんばるのだけども、どうもうまくいかない。そこで高天原という天上界みたいなところにいるエライ神様にアドバイスをもらう。曰く「女性の方から声をかけたからいけない」とのこと。イザナギとイザナミは大きな柱を両側からまわって、2人が出会ったところで声をかけあってから子づくりに励む。なんかの儀式みたいなもんなのだろう。その儀式のときに、最初にイザナミが声をかけているからうまくいかない、というのだ。現代なら女性蔑視で問題になりそうな発言である。でも、まぁ、エライ神様が言うのだから仕方がない。そういう考え方が神話の頃からずーっと続いてきていたということなのだろう。
そのアドバイス通り、イザナギから声をかけるようにしたらきちんと産めるようになった。淡路島とか四国とか産んでて、それ国土じゃん!ってツッコミたくなるけど、そこは置いとこう。国土つくったあとは神を産んでいく。やたらに神が増える。全部覚えられないぐらいには増える。というか、神話には神以外出てこないのだ。さすが八百万である。
●◯。。。... スサノオはとんでもない乱暴者だった
イザナギの子どもで、イザナギが黄泉の国から帰ってきたときに鼻を洗ってたら生まれたのがスサノオである。このスサノオはどうしようもない奴で、黄泉の国にいる母親のイザナミに会いたいと言って、大人になるまでずーっと泣きわめいていた。イザナギの鼻から生まれたくせに、母親はイザナミらしい。その辺はどうなってるのかよくわからぬ。
あんまり泣きわめくので、何か大地を荒らして山とかも噴火させちゃったりしたらしくて、イザナギに追放される。追放されるから暇乞いに姉のアマテラスに会いに行って、そこでもやったらめったら悪さをしてしまう。田畑は荒らす。皮を剥いだ馬を機織り小屋だったかに投げ込んで、機織りをしてた人(神?)が卒倒して死んだりもする。なぜこんなことをするのかは全く書かれていないのだけれど、とにかくすんごいひどい乱暴者で悪戯ばかりをしてしまうのがスサノオだったのである。無邪気と言えば無邪気なのかもしれないけども。
最終的には爪を剥がされてアマテラスが治めていた天上界、高天原からも追放されて地上にくる。地上に来たあとは人格が変わったように、乱暴や悪戯的な要素が抜けてしまうから不思議である。力強さは残っていたようで、ヤマタノオロチはわりとあっさり倒してしまう。ヤマタノオロチに酒を飲ませて寝こみを襲うというわりと頭脳派な方法をとっているのも意外である。少年漫画的なバトルシーンはない。一体、スサノオに何が起こったんだろうか。変わりっぷりが半端ではない。
地上に落ち着いたら和歌まで読む。日本で一番最初に和歌を詠んだのはスサノオである。意外と文化人なのだろうか。いやいや。やっぱり暴れん坊のイメージが強いのだが。
●◯。。。... 天の岩戸の前ではストリップショーが行われていた
これも知ってる人は知ってるだろう。弟のスサノオが悪さをしまくったことで鬱になったのかなんなのかわからないが、アマテラスは天の岩戸に引き籠もってしまう。太陽の神だから隠れてしまうと光がないってんで、困った神たちが一計を立ててアマテラスを誘い出す。有名な話だ。天の岩戸の前で宴会をして、楽しそうだなぁって気になったアマテラスを引きずり出したのだった。
でも、その天の岩戸の前で踊ったアメノウズメがストリップしてたことはあんまり知られていないと思う。アメノウズメは芸能の神で、踊りがうまい。で、それぞれ本によって書き方は違えど、どうも衣装が脱げていたらしい。子ども向けの本でもやんわりとした表現で書かれている。どうやら外せない描写らしい。それを見た神々が「大笑い」して、その様子が気になったアマテラスが岩戸を少し開けるのである。笑うってことは、おもしろおかしいのであろう。みんな好きだねぇ、って話ばかりでもないようである。どんな踊りだったのかも気になるところだ。
ちなみに、アメノウズメは後の天孫降臨のときにニニギと一緒についてきて、道案内をしたサルタヒコと結婚する。たぶん三重県の椿神社に祭られている。ぼくも参拝したことがあった。
●◯。。。...
ということで、だいぶ長くなってきたので2つにわけます。
まだまだ書きたいことはありそうです。神話っておもろいのだ。
m(_ _)m