meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

経済を否定しないこと。【BOOK在月 一箱古本市】

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 個人的に怒涛の10月が過ぎて、気がつけば11月になっていました。その間にひとつ歳もとってしまい、アラサーも第四コーナーをまわってきた感じです。こんな年齢になるとは思っていなくて、それでも生きていればこうなっちゃうってわけで、如何ともしがたい微妙な心持ちです。はふぅ。
 さて、そんな10月のメインイベントといえば、BOOK在月の本編、一箱古本市でございました。運営として関わるのは2年目です。まぁ、よくこんなわちゃわちゃとした中で、何の整備もせずにやっとるなぁ、という印象が強くあるわけですが、えーっと、しかしながら、自分で言うのも恐縮ながら、いいイベントだったなぁ、などと顧みたりもしています。出店者の協力もたくさんいただいて、あたたかい雰囲気のある場になったかと思います。

●◯。。。...

 改めて考えてみると、あの一箱古本市という仕組みは、なるほど、よくできたものでして、あれはいわばゲレンデなのです(すんません、この喩えは『ツインコンビネーション』読んでないとわからない)。えーっと、つまりは、会社ゲーム的なのであって、キッザニアみたいなものです。ちょっとした市を立てて、それぞれが古本屋さんごっこをする。フリーマケットと言うには、儲け感も商売感もないし、そもそも扱う商品は「古本」オンリーなので、ある意味かなり偏った人たちが集まる場になります。その趣味と商いのバランスが絶妙で、本を売るという動機づけが、うまーく趣味の話をするというコミュニケーションへと導いていくようないかないような。そんな感触がありました。
 趣味ばかりでは交われない。あくまでお金の、それも現金のやり取りがある。だから出ている本を真剣に見つめるし、出店してる側はその目を受け止めなきゃならない。そこに、自分の好みやこだわりも入ってきます。自分の好きな本が売れずに残ることもある。いわゆる売れる本ばかりが売れてしまうこともある。はー、世の中って難しいなぁ、なんて気持ちにもなって、でも、次はどういう戦略でいこうかなんて考えたりしてしまう。それはやっぱり楽しいことであって、「経済」ってのはそういうもんだったのではないかなぁ、と思ってもしまうのです。
 ちなみに、古本屋ごっことはいえ、売れる人は売れます。え、そんなに売れたの?ってぐらいの売上になることも。一冊100円とかで売ってたら、まぁ、届かない境地があります。そこに至るには、どうすればいいか。考えてみるのもおもしろいものです。

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 資本主義ってのは、だいぶと嫌われ者になっちゃったのですけども、多分、本来は嫌われるべきものでもなかったのだと思います。お金には扱い方があるし、捉え方がある。あんまり忌み嫌うものとして遠ざけるんじゃなくて、うまく付き合うための、その姿勢を身につける方向に向かってゆくといいのではないかなぁ、てなことを少し感じた次第でした。

 それにしても、みんなが出してくる一箱の世界は楽しいですな。


m(_ _)m

 

 

一箱古本市の歩きかた (光文社新書)

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