meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

『7つの習慣』を読んだ

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 『7つの習慣』を読んだ。今更、読んだ。今更だなぁ、と思って、やっぱり今更だったなぁ、と思った。知ってる人はだいたい知ってるし、知らない人があんまりいないんじゃないかなぁ、ってぐらいのビジネスマンバイブルである。大学生ぐらいのときに読んでおくとよくて、若手社会人でちょっと遅めに読んでもよくて、30代で初読なら少し遅い。そんな感じの聖典なのだ。
 昔っからその存在は知っていて、どっかで買ったこともあったかもしれないけれど、読んだような読んでないような、読んだとしても最初の方の章を少しかじったぐらいだったよなぁ、って印象しか持っていなかった。読もうと思ったのは、東京FMのスカイロケットカンパニーで『7つの習慣』のコーナーが始まったからであった。
 ぼくの情報源はだいたいラジオなのだ。

●◯。。。...

 内容については、それこそイマサラなので触れない。知りたい人は読んだらいいだろう。読んで悪い本ではない。勘違いさせそうなところはあるけれど、本筋はしっかりしている。それこそ、若手にはオススメできる。ちょっとませた中高生が読んでも、それなりに得るものがある気もする。変な自己啓発本読むよりは、こういう王道を踏んでおいた方がいい。

 それにしても、自分の軸を持って、理念的に生きるってのは、まずまず難しいもんだな、と思う。自分自身をぼやっと振り返ってみると、わりとデコボコしたワインディングロードを歩んできたくせに、理念的な、軸的な、芯的なものがあったかというと、そうでもないように見えてしまう。
 あんだけ風に吹かれてボコボコとぶつかってきたのだから、なんか鍛え上げられていてもいいはずなのに、要らないもの大事なもの含めていろいろと振り落としてばっかりの歴史のような気もする。太宰治がどこかで書いたように、衣を一枚々々脱いでいくようなものなのかもしれない。そのわりには、身軽にはならなくて、ちょっとずつ背負い込むものが増えている、ような気もする。
 いったいぜんたい、ぼくはどこに向かってんだろうなぁ、なんて、考えてしまったりもする。

●◯。。。...

 国破れて山河あり。ちょいちょいそのフレーズだけが頭に浮かぶようになった。職場から出ると、この季節の匂いがする。5月の夕暮れ、程よく乾いた風が肌にやさしく当たる。遠くで蛙の鳴き声がする。1年ほど前、この職場に来て、こういう景色に少しは戻れたなぁ、と思った。なんだかんだで、地方都市の、ほどよく自然に囲まれた環境が好きなのだ。
 いろいろと落としまくっても、きっと山とか河とかはあるだろうと考えてみる。それはわりとゆったりした感触の思考で、なかなかに心地よいことに思える。主体性だとか、当事者意識だとか、自分の軸だとか、理念だとか、そういうもんが自分の中から湧いてくるなんてのも、なんだか妙な話なのかもしれない。
 自分の意志が自分の中にある、コントロール可能なものと考えてしまうのも、どこか違う。中とか外とか、そういう話でもないのだろうけれども、実は外にある、って考えてみるのもいいもんなのかもしれない。

●◯。。。...

 そういう意味で言えば、『7つの習慣』は今読むとちょっと強い。そんな強さからは思いっきり距離を取っていたぼくが、今はまた、少しずつ強さに巻き込まれつつある。
 願わくは、できるだけ、やわらかく流れていきたいもんだなぁ、と思う。

 

m(_ _)m