CMを見なくなって久しい。Room‐1984にテレビを
置いていないから、だが、数年前の僕から見れば信じられな
いことだったと思う。まがりなりにも広告業界の人間だった
からね。
それでも、よいCMがあるとネット上で話題になるから、目
につくこともある。ACは置いといて、最近では九州新幹線
全線開通のCMが話題になってた。
いいCMだなぁ、と思いつつ、なんか違和感というか、今、
これかよ!みたいな感覚になった。以前「 ドラえもんは
死んだ 」という記事を書いていて、僕自身はこれから日
本が「 わかりやすく発展 」していくイメージが持てて
いないからだ。
30秒バージョンはさらに明確に、「 未来は明るいに決ま
ってる 」と言い切る。この演出に、単純に、「 ああそ
うだなぁ、未来は明るいんだ 」と感じてしまう自分もど
うか? と思ってしまう。こりゃあ、厳しく言えば思考停
止なんじゃないの??? だって、このまま行けば、日本
の未来は、「 暗いに決まってる 」w
このCMにケチをつけてもしょうがなくて、じゃあなんで
僕がこのCMに感じ入ってしまったかを考えた方がおもし
ろい。なんだかんだ言いながら、この映像は好きなのだw
まず、素人ながらにこの映像の構成を見てみると、、、
最初に昭和ノスタルジー的な視点にまで引き戻されて、古
く、発展が賛美されていた時代が強調される。ロングバー
ジョンの、とにかく新幹線の開通を祝い、手を振り続ける
シーンなんて、まさに田舎に初めて電車が通ったときのよ
う。みんなが交通網の発達に希望を持った時代の象徴に思
えてくる。そして、視聴者を昭和の視点に戻しておいてか
ら、「 発展っていいよね 」と無条件に投げかける。
「 ああ、よかったよな 」とそのまま感じてしまう。な
にか、未来に明るく向き合えるような気になってしまう。
「 イイコト起こりそうだぞ 」と感じてしまうわけだw
ある意味、「 そういう気持ち忘れてませんか? 」って
言われてるのかもしれない。たしかに、たしかに、そんな
感覚は忘れているようで、だからこそ、このCMが好きな
のかも、だ。
考えナシと言われようとも、楽天的に未来を迎えようよ!
くよくよしてたって、仕方ないでしょ!
と、そんな感覚なんでないかな。気持ちを楽にしてくれる
麻薬とも見えるし、不安ばっかりで悩んでいるときに明る
く支えてくれる友人のような存在にも思える。ただ、こう
やって無責任にも「 未来は明るいんだ! 」と言い切っ
てしまえるところが、CMのよさなのかもな、とも。CM
は、経済成長を支えて来た明るい表現たちなのだから。
ちなみに、蛇足。
それにしても、「 ひとつになった九州から 」という表現
とかに、この国の未来のために一丸となって経済成長を成し
遂げた時代の面影を感じてしまうのは、僕だけだろーかw