meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

なくなってもいいのだ。


 1年ほど前、はじめて未来デザインを体験したとき、
 少し予想外のデータが出てきて「おっ」思ったことがある。

 未来デザインについてはまた機会を見て書くが、そのときは
 「 何のための人生でありたいか? 」という問いに
 20程度の短文で答えていて、

 1つ、「 死を認めるための人生でありたい 」という言葉が出た。

 そして、妙に腑に落ちた。


 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
 おごれる人も久しからず ただ春のよの夢のごとし
 たけき者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ

 とか、中学のときに覚えたものだが、盛者必衰、
 いつかなくなるし、変化するものなのである。

 地域活性化とかまちおこしだとか、あるわけだが、
 理によれば、町や地域もいつかはなくなるもの。
 元気にやってるのはいいんだが、無理に存続させようと
 することもないとは思うのだ。



 日本は戦後、急速に発展したのは誰もが疑わないところだ。
 常に上がり続けた発展は、みんなの生活をいつも
 新しく、キレイで、華やかなものに変えていった。

 みんな日本のどこにいても発展を感じることができ、
 バブルまでの50年程度でそれが「 当たり前 」との錯覚
 を起こすようになったのではないか。

 バブル崩壊からこっち、地方の店、看板などはメンテナンスも
 行われず、ただただ汚れるだけで衰退感を強調する。



【そういう看板が好きということも否定はできない。。。】


 そして言うのだ、 「 昔はよかった 」 と。
 まるで政治権力を失った平家が過去を述懐しているようではないかw

 いつか死ぬのだ。 いつかなくなるのだ。
 それが今であっても何もおかしくない。

 going consern を守る必要がどこにある?
 始めたら永続せよという方が無茶なのだから。


 最近異常に見ているアニメ、銀河英雄伝説の中でヤン・ウェンリー
 こんなやり取りをしている。




 【ヤン】
  ユリアン。人は、現在の状況が永遠に固定しているものと誤解しがちだ。
  だけど考えてもごらん、銀河帝国なんて代物は500年前には存在しなかった。
  自由惑星同盟の歴史はその半分の長さだし、フェザーンにいたっては1世紀
  そこそこの歳月を経ただけだ。
    【ユリアン
  ええ。
    【ヤン】
     宇宙の始まりから存在したわけでもないものが、宇宙の終焉まで続くはずがない。
  必ず変化が訪れる。今、その変化はローエングラム侯ラインハルトという傑出した
  人格を借りて、まず銀河帝国を席巻し、ついで全人類を絡め取ろうとしているんだ。
    【ユリアン
  それじゃぁ、銀河帝国は滅びると?
    【ヤン】
  滅びるさ。いや、事実上はすでに滅んでいる。実権はローエングラム侯の手中に
  あるし、皇帝は国を捨てて逃げ出した。名義の変更がされていないだけで、実情は
  ローエングラム王朝だよ。



 なくなることが、淋しいというのもわかる。
 しかし、明治維新からたかだか150年。そういうスピード感だから、
 まぁ、なくなってもいいじゃないか、と認めることもときには大切だろう。