meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

ワークショップとソーシャルスキルトレーニング

とある関係から、ほんの少し「 障害 」ってやつに向き合う機会を得た。就職をしたい障害者に向けてのワークショップを見て欲しい、という依頼である。別にワークショップの専門家でも何でもないのだが、そんなことを言っていられる身分でもないな、と引き受けてみたのだった。

安請け合いをしてしまったもんだ。障害についても門外漢である。兄貴が臨床心理士をやってるから、ちょっと聞いてはみたものの、まぁ、専門的な知識が必要になるのは言うまでもない。そんなもん、イマサラ知ろうとしても遅い。付け焼刃ではどうにもならんだろう。甚だ心許ないが、今の自分で向かうしかあるまい。頼まれたからには、何らか役に立とう。できることは、考えることだ。


さてさて。
障害者とワークショップするってのは、どういうことだろう?

ソーシャルスキルトレーニングってのがある。略してSST。障害を持つ人が社会に適応するために必要なスキルを訓練するプログラムみたいなもんだ。( と、僕は捉えている。いろいろありそうなので、詳しくは調べてみて欲しい )健常者で言う、社会人基礎力だと思う。挨拶の仕方、とか、名刺の渡し方、とか、コミュニケーションの取り方、とか。これらが出来ないと一般企業に入ったときに生きづらくなってしまう、ってことを身に付けるのがSSTだろう。就職を目指す障害者は、なるほど、こいつをやってスキルを高めなきゃならん。面接に行って、挨拶できなきゃ、そりゃ、お断りされるに違いない。

就職訓練で求められるのは、このSSTだと思った。
だが、お題は「 ワークショップ 」だったりする (;・∀・)

SSTと同じく、ワークショップも様々に流派/考え方があるので一概に言えないのだけれども、ワークショップってのはある意味、反社会的だと思っている。誰もが自由に言いたいことを言える。社会人が、会社では言えないようなコトを言えて、少しずつ自分のコトを吐き出せるようなるような。ワークショップってそんな場じゃなかろうか、と思っている。そこでは、確かに相互に認め合う雰囲気とかがあるんだけども、いわゆる厳しい社会ではない。既存の社会から外れて、もう1回、こうあったらいいな、と感じる社会を創っていくのが、ワークショップの範疇ではなかろうか。

既存の型にハメようとするのがSSTだとすれば、型からどうにか引っ張り出そうとするのがワークショップ、って整理になる。


じゃあ、SSTをすればよいのだ。ワークショップとSSTを間違えて言ってるだけでしょ。SSTっぽいことで、お茶を濁せばいい。って結論に至ってもいいんだけども、ここで無駄なこだわりが出しゃばってきた。昔から思っていた就職支援への違和感。既存の体制に馴染む人をつくり出して、送り込む。それじゃ、何も変わんない。おもしろくない。それでいいのか?、と。

どうせなら、支援されて就職していく人は、敵に贈る毒まんじゅうになって欲しいのだ。他人の人生を何だと思っているんだ、と言われそうだけど (;´Д`) そんでも、一般企業の中に入って、周りの人に新しい感覚を呼び起こすようなことにならんかなぁ、と期待してしまう。既存の枠にハマってしまうのは、どうもよくない。もっと言えば、イケスカナイ。

これがジレンマである。社会人っぽくあって欲しいけど、社会人っぽくあって欲しくない。簡単に言っちゃえば、SSTとワークショップを分けて、週に1回ぐらいワークショップをすればいいんだろう。( まぁ、そこまで口を出せるほど関われないのだけれども。。。 )これが現実的なソリューション。はい、ここで立ち止まらない。

このジレンマは、超えられるんじゃないだろうか?

昨日このテーマについて話しを聞いていたときに「 対応力 」って言葉を教えてもらった。適応ではなく、対応だと。なんか煙に巻かれたような、でも、確かに違う。自分の世界を持った上で、外の世界といかに付き合うかを考えるのと、既存の世界に入っていこうとするのと、そんな違いというか。。。いや、勿論、SSTでも自己認知は重要視されるんだから、前者なんだろうけど。

自分の世界を創る/気付く、ってとこをちゃんと踏まなきゃならない。それを担当するのは( 僕の理解の中では )やっぱりワークショップ的な何かなのだ。だとすれば、僕が仕掛ける試行錯誤は、いかにワークショップ的な何かをSST/就職訓練に潜り込ませるか、ってことになるだろうか。

 

 

たぶん、本当に究めて行けば、SSTだとか、ワークショップだとか、そういう区分けのないとこに行き着くんだろうなぁ。究めるつもりは毛頭ないんだけどもw まぁ、なにせこの性格だから、自分なりにコダワって、与えられた機会をこなしていくしかないでしょ~な ヽ(´ー`)ノ

 

 

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