meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

どのぐらい首を締めるか?が制度設計の要だと思うんです。

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 どうやら何とか繁忙期を乗り越えたようです。ほどほどに業務がなくなって、だいぶとヒマになりました。ヒマしてる場合じゃないんだけど、まぁ、こういうときぐらいはサボらせてください。えっと、いっつもサボってんじゃんってツッコミはなしで。(;・∀・)
 時間があるときにやることと言えば、書類整理と掃除ですな。このタイミングにやっとかないと、えらいことになります。それが一段落したら、次の波に備えての準備でしょうか。いんや、そんなに真面目にもなれませぬ。
 こういう身動きがとりやすいときには、こちょこちょと内職をするのがいい感じです。どうでもいいこと、たぶん使われることもないんだろうけどもこれやっときたいなぁ、ってことを進めます。この機会にワークフローの整理をして、チェックリストにしてみたり。全体の流れ整理を下っ端が作っても絶対に使われないパターンなんですけど、やっておくとためになるのでオススメです。ただし、誰のためになるのかはわかりません。

●◯。。。...

 業務全体の流れを見渡して、どのタイミングでどういう情報がどこにあれば動きやすいか、なんてことを考えての書類づくりというのは、制度設計に通じるところがあります。というか、ほとんど制度設計です。これまでの経験からある程度の「型」を導き出して、それを「型」として認識させる。そうすることで獣道やフロンティア最前線だった業務に、道が見えてきます。後進はその道を歩けばいいわけです。ちったー舗装ぐらいしておくのが先輩というもんでしょう。
 ただ、この道、アスファルトでベッタベタに固めてしまうと、具合が悪くなってしまいます。ガッチガチなものほどヒビが入りやすい感覚です。例外とかがキライで、細かいところまで詳細に作りこみたいのが制度屋さんの性なのですが、そんなに首を締めてしまうと息ができなくなってせっかくの制度が窒息しちゃうのですな。具体的には、制度が細か過ぎてめんどくさがられる、もしくは、枠の中で安心し過ぎて想定外の緊急事態を見逃す、などの弊害が出てきてしまいます。意外と「だいたい」で「てきとー」がいいこともあるのです。
 制度には想定済みの穴や見逃しが必要です。余白とか遊びとも言い換えられる「幅」をどうやって持たせるか、そこが最も大切なのだなぁ、とか思っています。特に有機的な流れをはめ込んで区切っていくような「型」をつくってるときには意識してしまいます。多分、使われないものをつくってるのに、変な凝り性が出てるのですな。

●◯。。。...

 じゃあ、どうのぐらいの「程度」で首を絞めればいいかというと、勝って兜の尾を締める、ぐらいです。ちょっと苦しい?けどもスグに慣れるのが目に見えているぐらい。本当は「お、これ便利じゃん、つかおつかお♪」と言ってもらえるといいんだけども、なかなかそこまでクオリティは上げられません。自分が考えたラインに沿って、他の人が動くイメージができればまずまずOKです。決してカンペキを目指しちゃいけません。カンペキ目指すと必ず凹みます。人は期待通りに動かないからおもしろいのです。
 もうちょっと踏み込んで書くならば、「必要最低限をおさえる」を意識してつくっています。逆に言えば、必要最低限じゃないものは自由にさせる、ということです。これとこれとこれをおさえておけば「なんとかなる」です。なんともならなくて座礁するのは避ける、がわたしの基本方針です。さすがに赤信号で横断しちゃマズイけど、黄色信号だったら注意すればなんとか渡れるようになっている。そんなラインを狙います。
 これとこれとこれをおさえておけば「安心♪」ではないところがポイントです。多くの場合、設計者が「安心♪」するまで細かく規定された制度は、それに沿う人にとって窮屈です。ここまで来たら、なんとかしてやらぁ、ってな気概が必要なのです。その「なんとかしてやらぁ」が、関わる人々の仕事なのだと、そんなふうに考えてます。

●◯。。。...

 ま、いくらこんなことを書いたところで、こういう系統の書類は「ほぼ100%」使われないんですけどね。マニュアルや手順は、使う人ありきです。使う人が気に入らなければ、理解ができなければ、まさしく水泡となります。
 じゃあ、なぜつくるかって?それはためになるからです。実は使われないからといって、それが全くの無駄にはなりませぬ。数限りない無駄な書類づくりと無謀な制度設計の中に、ようやく1つや2つの「使える」が生まれるのですな。それを信じてなきゃあ、こんなことはやっとりませぬ。

 あ、いやいや、たしかに、ヒマで仕方なかったからってのもあるんだけど。。。

 


m(_ _)m

 

 

 

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