長年使ってきたダイアモンドコーティングのフライパンが、遂にこびりつくようになってしまった。こうなってしまうと、何でもかんでもこびりつく。油をどぼどぼっと投入して、うまいこと浮かせれば何とかなることもあるけれど、毎回そんなにいい具合にできるような技術はぼくにはなくて、ちょっとくっつきはじめたと思ったら最後、次から次へとへばりつく。
これはストレスである。
つくるならば美味しい料理を目指すのが当然、自然。それがフライパンに阻まれる。炒めた料理の十分の一ぐらいがフライパンにべったりはりついて、ガリガリガリガリ。そんなことになっても、2ヶ月ぐらいは何とかなるさと耐えていた。相方はそれなりに対応する技術も身につけていたようである。でも、やっぱり、そろそろ買い替えてもいいんじゃないかという話になった。
ダイアモンドコーティングを買って4年弱が経っていた。島根に移住したときに買ったフライパンセットだった。正直、よく持った方だと思う。
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恥ずかしながら、買い換える段階になってはじめて、フライパンは消耗品である、ということを知った。おかんがフライパンを買い替えてるなんてシーンを見たことがなかったし、一人暮らしとかになった後も、ホームセンターに売ってるやっすいフライパンで、まぁ、こんなもんだろう的な料理しかしてなかったからだ。
新しいフライパンを買おうってなテンションになって、あれやこれやとネットの記事を漁って、やっとこさフライパンの事情を垣間見た。フライパンは素材によって性格が違う。テフロンは使いやすくて貼りつかないけど、その効果は永続しない。チタンコーティングとかだって、高耐久らしいけど、ずーっと使えるわけではないっぽい。セラミックはなんかうまく使わないとスグ焦げつくそうだ。鉄は手入れが大変だが、きちんと使えば長持ちするし、徐々に使いやすくなっていく。
他にも、ステンレスとか、銅とかもあるのかな。まぁ、なんだかいろいろな種類があるし、多層構造になっているのもあって、バラエティに富んでいる。口コミ、評価、専門家のオススメも多様過ぎて収拾がつかない。情報が多過ぎるのだ。
で、結局どれにする?という言葉を5回ぐらいは繰り返して、最終的に、この前無印良品で見かけた鉄フライパンがよさそうだった、という結論にたどり着いた。手入れが大変な鉄フライパンに手を出すのは、ちょっと勇気のいることだった。
まぁ、どんどん買い替えて、古いものを捨てていくスタイルよりは消費的でなくてよいではないか。うん十年とフライパンを使い込むのも、楽しそうだ。
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手に入れたのは、無印良品の鉄フライパン26cm、育てるフライパンである。鉄フライパンなので、そのままスグに使うことはできない。まずは油を馴染ませる工程がある。「油ならし」というらしい。あっためたフライパンを一旦冷まして、そこに油を0.5から1カップほど入れる。再度火にかけて油をまわしながら5分ほどあたためる。油を出して、クッキングペーパーで油を拭いて、ついでに外側とかにも油を薄く塗っておく。説明書を読みながら、30分弱の休日作業。マットからテカリへ。一気にフライパンの表情が変わった。
これで油に馴染んだわけではない。鉄フライパンが油膜を手に入れるためには、時間がかかるらしい。今後、フライパンを使う前には火にかけて、油を入れて、出して、また油をひいて、という作業が発生する。これは「油返し」という。そんでもって、洗い終わったあとにも、油を塗らなければならない。なぜかこの作業には名前がない。
とりあえず今日の晩ごはんのときに1回通してやった感じで言えば、まずまず楽しい。新しいフライパンが嬉しいのもあるし、なにより、炒めた鶏もも肉が美味しかったのである。焦げ方が違うのか、よくわからないけども、炭火的な、お店の味的な香ばしさがあった。フライパンひとつでこんなに味が変わるものなのかと、二人でちょっと驚いた。
かっちょよくて、美味しくて、長年愛用できるなんて、イカしているではないか。
そのうちこれもいつものことになっていくだろう。それでよいと思う。油に馴染んでいき、日常に落ち着いていき、ずっとそこで使い続けられていく。
そういうのが、好きなのだ。
m(_ _)m
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