meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

さよならシザーバッグ。

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 長く使い過ぎてしまうことがある。このシザーバッグもそのひとつ。確か、大学生の頃におかんからもらったものだ。誕生日プレゼントだったと思う。いきなり小洒落たもんが届いたなぁ、って思ったような、それとも何かこちらからリクエストしたのだったか、あまりはっきりとしたことは覚えていない。
 写真を掘り返してみたけれど、いつから持っていたかはわからなかった。あんまり自分自身を撮るってことはしてないからだ。3回生か、4回生ぐらいと考えてみると、うーん、12年とか、13年ものだろうか。長い付き合いになった。ベルトに空いている穴は、当時学生寮で飼っていたネコにかじかじやられたときのものだ。

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 長年持ってるモノってのは結構ある。人生の半分ぐらいを共にしてきたようなフリースだったり、高校時代から使ってるフランク・ショーターのシャツだったり。ぼくはとにかく使えなくなるまでは使ってしまうような性質らしく、ちょっとぐらいのボロは補修してしまったり、気にしないことにする。なので、いつまで経っても新しいモノが買えない。だって、今持ってるモノがまだ使えるから。このシザーバッグも、2~3年前にはガタが来ていたものだった。底には穴が空いていたし、口側にも大きく裂けてきていたが、自分としては、まだ使えるものだった。

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 そろそろかなぁ、と言ってはみるものの、腰は重い。休日のお供としてヘビーユースしているバッグ。新しくするとなると、それなりのものを求めてしまう。その辺に売ってる、適当なサコッシュには手が伸びなかった。どうせなら、カメラも入るバッグにするか、とか余計な考えも浮かんできた。そして、そのまま時間だけが過ぎて、ほとんどオーバーキルな状態になってしまったというわけである。

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 ここまで使う人はいないんじゃないかと、自分でも思う。本当にお世話になった。

 昨日、気まぐれに夏休みを取って遠出して、アウトレットに乗り込んだ。そこでヒョイッと入ったグレゴリーに安いボディバッグが置いてあった。これならいいかな、という感触があって、一旦、他の店をぐるぐるまわってから、買うことにした。こういうことは唐突にやってくるもんだなと思った。2回目に店に入って、バッグを確かめているときに、安倍総理辞任のニュースが入ってきた。ふとした瞬間に、時代は変わっていくんだろう。

 大学生から社会人になって、離職も、移住も経験する中で、ハードに使い倒されたシザーバッグに敬意と感謝を。



m(_ _)m