meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

おひとりさまの年越し

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 岐阜は雪。アパートにひとり、こたつに入りながらパソコンに向かう。今朝は晴れていたのだけれど、やはり寒波は免れないようである。今年は雪の年越し。まぁ、3年に1度ぐらいは年末年始に雪が積もっているような気もするし、雪自体はそれほど特別な感じもしない。特別なのは、2021年をひとりで迎えようとしているってことだ。
 東京では1日のコロナの新規感染者数が、1,300人を超えたらしい。さっきニュースが入ってきていた。全国で3,000人を超えた頃から、もしかしたら全国で5,000人ぐらいはいくんじゃないかなぁ、なんて思っていたが、本当にそうなりそうな勢いである。特に、年末の休暇に入っているハズのこの時期に感染者数の増加が止まらないのは、気にはなる。
 案外みんな帰省していたり、買い物いってたり、飲み食いしているのかもしれないし、実際、午前中に買い出しに行ったスーパーはごった返していたけれど、まぁ、そんなことを素人がなんやかんやと思い悩んでも仕方のないことだろう。いち個人として、なるべくのステイホームを心がけるしか、やりようがない。
 この状況になってみると、帰省なんて考えられるものでもなかったなぁ、と思う。つい最近までは、なんとか年末年始ぐらいは顔を出せないかと考えたものだが、今やそんな発想をしていたのがおかしいぐらいになってしまった。新型コロナ次第で、状況ががらりと変わってしまう。本当に、翻弄された1年だった。

●◯。。。...

 ひとりで年を越すのは、初めてである。たぶん、人生で一度もなかったことだ。なんだかんだ言って、年末年始は帰省しているし、珍しく帰省しなかった年は、友達と過ごしている。こんなにおひとりさまな大晦日を、ぼくは体験したことがない(それも幸せなことかもしれないなぁ)。
 同窓会や帰ってくる友達との飲み会とかランチも、もちろんなくて、手持ち無沙汰な年末年始になった。Zoomかなんかでリモートの予定をちょっと入れられたかもしれないけれど、家族のある相手にそれを持ちかけるのも気が引けた。加えて家にはテレビがないので、年越しの演出にも少々困っている。

●◯。。。...

 お盆に高校野球が似つかわしいように、年末年始には紅白や箱根駅伝があってしかるべきである。人によってそれがガキの使いとか、鉄腕DASHになってもいいのだし、親戚まわりのあいさつだとか、家族総出の餅つきでもいい。
 年中行事、というより、恒例行事だろうか。ひとつひとつの「いつもの」が年末年始をつくっていく。ちょっと無粋な言い方かもしれないけれど、年越しは自然現象ではなくて社会現象なのだと思う。だから、年末らしいこと、正月らしいことをして、その日付変更線の意味を際立たせる。ある意味で、それがぼくたちの勤めなのだろう。
 今年は、その勤めをいくぶんか果たせない状況になってしまった。最初はかなりガックシきたのだが、それはそれ。気持ちを切り替えて、このとても珍しいおひとりさまの年越しを楽しんでみようという気になっている。夜の孤独は身にしみるけど、雪が降る、静かな午後を独り占めできるは贅沢だ。

●◯。。。...

 コーヒーを淹れる。牛乳を足してカフェオレにし、電子レンジであたためた。ひと息ついて窓の外を眺める。雪の降り方は弱まっている。今夜はどんな感じになるだろう。
 明日には2021年だ。個人的には、今年もなんとか、大きな事なく過ごせそうな様子である。ありがたい。やっと、新しい年を迎えられる。そんな気もしている。
 日が暮れる。やっぱりどこかで、新型コロナの終息を願っている。

 

m(_ _)m