meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

カチカチする人

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 ITサポート的な業務をしていると、ときどき、いや、しばしば、カチカチする人を見かける。パソコンが思い通りに動いてくれないと、カチカチカチカチッ、とすごい勢いでカチカチするのである。エラーメッセージは出ている。けども、読もうともしない。ただただ、感情に任せてガガガガッとクリックし続けるのである。
 落ち着けよ、と思う。一体、何がそうさせるのだろうか、と思う。

●◯。。。...

 そういう人のパソコン操作を横から見ていると、ちょっと心配になってしまう。起こっていることを認識できているとも思えない。同じことをしたら、同じことが起こる。そんなシンプルな法則にさえ、気づけないような様子なのだ。
 あれ、動かないぞ、カチカチカチカチ。当然のことだけれど、入力されたら処理しようとするのがコンピュータの性である。押せば押すだけ、処理に時間がかかる。人間だって、たくさんのタスクを投げつけられたら混乱する。事態は余計に悪化する。
 画面を見ればエラーメッセージが出ていたり、砂時計が表示されていたり、ぐるぐるがまわり続けていたりする。それだけ見れば、動作が重くなっているとわかるだろう。そこで自分の指を止められない。まるで事態の認識を拒否しているように見える。
 パソコンのことは理解できないのだ、と決めつけているのだろうか。パソコンはサクサク動くものだと思いこんでいるのだろうか。カチカチ連打したら動いたという成功体験が積み上がっているのだろうか。連打で成功することはないとは思うが。

●◯。。。...

 自分から壁をつくって、相手を拒否しているような、そんな雰囲気を感じる。あんたは違う、と突き放しているようでもある。カチカチカチカチッ、とやって、あー、もうっ、となって、そのイガイガを周りに突き刺してまわるような人もいる。横で操作をサポートしている身としては、気分のよいものではない。
 1テンポ遅れて動作するアプリケーションがあれば、1テンポ遅らせて操作をすればよい。相手が突如として高速になるわけじゃないんだから、相手に合わせるしかない。相手に合わせるなんて、人としてわりと当然にやっていることではないか。相手の様子に意識を向けるのも当たり前のことだ。車を運転するときにだって、ハンドルをまわしてどのぐらい曲がるのか、みんなそのフィードバックを意識しているはずである。
 なぜだかパソコンは、そういう相手とはみなされていないようだ。

●◯。。。...

 IT側から見れば、デジタル・ディバイドだなんだとかって言われたときもあったけど、結局のところ、目をつむっているのは人間側の方じゃないだろうか、と思えてしまう。慣れない、勉強しない、新しいものを受け付けない。仲良くしようとしなけりゃ、そりゃあ、仲良くなれない。
 もう、流石に諦めて欲しい。ITを使えないままではいられないのだから、それは業務なのだから、全部をパソコンのせいにして当たり散らさないで欲しい。その負荷は、目の前のパソコンが無言で引き受けている。そして、きっとどこかで歪みを積み上げている。
 プログラミングが必修になってよかったのかもなぁ、なんて思う。

 

m(_ _)m