meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

世界は政治でできている。

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 年末。なんとなーく2021年を振り返っている。今年もコロナで、去年もコロナだった。しかし、去年頃からだったか、へー、政策って世論の声で動くんだなぁ、なんてことを感じるようになった。確か、2020年の国民一律10万円給付辺りからだったような気がする。あの給付も、最初は一律って話ではなかったんじゃないっけ。その後の世論のざわつきに応じて、修正されたような気がする。
 今年も、給付を巡ってはなんやかんやと議論があって、修正もされた。18歳以下への10万円給付が、一律だとか、所得制限ありだとかで揉めて、さらには現金だとかクーポンだとかで揉めて、その給付方法も議論を呼んだ。結局、現金で10万円給付する自治体もあれば、5万円は現金で先に渡して、あとはクーポンで、ってな自治体もあるとかで、リーダーシップに欠けるのか、自治体に裁量をもたせるのか、よくわからないけど、やわやわした施策になったのだなぁ、と眺めていた。
 ただ、世論の声の影響は強く感じる出来事だった。みんなが不満を表現すれば、それは伝わっていく。人気取りの、ポピュリズムにつながっていきそうな傾向ではあるけれど、効用感はあったんじゃないかなぁ、なんて思ったりしている。
 ひっくり返らない側面があったのも、おもしろかった。今年の給付は、公明党の意見で、自民党はそれを尊重せざるを得なかった。生活困窮者への給付か、18歳以下への給付か。生活困窮者への給付が妥当だという意見も強くあったと思うが、結局、スポットライトが当たったのは18歳以下への給付だった。ぼーっとニュースを眺める限りでは、公明党に強く配慮した結果だなぁ、と感じるもので、政治ってこういう上手さも必要なんだなぁ、と思えた。
 多数決の世界で、少数の意見をどうやって入れ込んでいくかを考えたときに、政党ってものの意味を改めて認識することができたのだった。

●◯。。。...

 世の中、政治だなぁ、と思う。現職でも、前職でも、政治が大きなキーワードになる。大きな組織に入ると、組織内での政治力が問われる。小さな組織では、社会の中で組織が生き残るために政治力がポイントとなる。政治力がある人が、昇進して権力を握る。そして、その権力はしばしば横暴にふるわれてしまう。だから、政治にはきちんと向き合わなきゃならない。
 昔、誰だったかが、政治ほどおもしろいものはない、的なことを言っていた。なんでそんなことを言うのか聞いてみたら、あんなに露骨に人間の欲望が渦巻いている世界はない、ってな答えが返ってきた。なるほどなぁ、と思う。実際、どぎつい欲望が交錯してる感がある。その渦をうまく巻き取れる人が、政治力がある人だろう。
 仕事がデキる人からは、たいてい、そんな政治力を感じる。調整ごとに翻弄されつつも、どこかで欲望のツボをおさえるのが上手い。それも、組織の欲望ではなくて、個人の欲望をきちんと観察している。偉くなりたいのか、お金が欲しいのか、いい格好がしたいのか、誰を攻撃したいのか、性欲を満たしたいのか。相手のニーズを、特にちょっと倫理的にどうかと思われるよな赤裸々なニーズを見逃さない観察眼を持っている。
 だから、相手の意向を飲みつつ、急所をほじくってノセることができる。こういうのは、女性を口説くのがうまい人は仕事がデキる、みたいな話で、それはあながち間違っちゃいないのだろう。それもまた政治力って言えるのだと思うのだ。

●◯。。。...

 世の中は何となく民主主義だし、組織だってピラミッド構造のくせに民主主義的なふりをしようとする。だから利害調整時に、権力で大上段からぶった切るか、政治的な調整プロセスを経るかと言われれば、ほとんど必ず後者が選択される。
 なんだかんだで、現場での実力よりも、調整である。欲望の渦の中で、どうやって立ち回るかってなことに、ピントを合わせる心も、持っておきたいもんだなぁと思う。



m(_ _)m