meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

『フィードバック入門』中原淳

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 中原淳さんの本である。なんか中原さんの本を読みたい気分になって、手にとった。中原さんの初心者向けの本はとにかくわかりやすくていい。タタタタッと読んでしまえる。その割に、しっかりと残るものがある。日常業務に近い話題だから、心に響く。
 実際、ぼくがフィードバックする機会ってのはそうそうない。平のペーペーさんで、今の職場に来てから2年弱。何か業務についてエラっそうなことを言うこともできない身分である。そんな職歴の浅さなのに、なぜだかぼくの後輩が既にいるってのはちょっとした悩みの種で、たまに立ち位置に困ることがある。
 妙な高齢者が転職してきて、ペーペーの職位に配置されて、職歴は浅いのに何だか物知り顔の雰囲気を出してるもんで、ああ、この人は指導する立場にあるんだなとか思われたり、だけど、もちろん古参の先輩がいるわけだから、そこをスルーしてあれやこれやと指図するわけにもいかない。これぞ職場のダイバーシティ。公務組織とはいえ、なかなかに状況は複雑化しているのである。

●◯。。。...

 フィードバックってのは、まぁ、簡単に言えば個人面談のことで、1対1だったりで、上司に呼ばれて目標がどうだとか、今期はこうだったとか話すやつのことだ。それをしっかり意識して、組み立てていくとフィードバックになるってな理解でいいと思われる。
 問題社員ってのはどこにでもいるもので、そういった輩にきちんと痛いことを伝えて、そこから次の行動変容を促す立て直しを支援する。これって、いわゆるコーチングではできなかったことらしく(たぶんコーチングの人はできるって言うと思うけど)、気づきを促すばっかりじゃなくて、きちんと伝えるべきは伝えて(ティーチング)、その上でこれからどうしようって対策をつくっていく(コーチング)、のが大切だよね、というお話である。それがフィードバック。現代の上司たちは大変なんだなぁ、と感じることができる。
 まぁ、どこかしらでマネジメント的なことをしなくてはならなくなろうだろう現代人たちにとっては、他人事では済まされない問題だろう。問題社員の行動を変えるって、難題中の難題なのだ。
 実際どうやっているかってのがブラックボックス化してるってのもいい指摘だと思う。だいたい個人面談なんて密室の中で行われるのが通例で、それ故にノウハウの共有はなされない。本の中には3つほど実践者へのインタビューもあって、やっぱりそういうのにはほうほうとなる。まず、問題となっている出来事の通知のときには感情を交えないこと。しっかりと部下を観察してデータをとっておくこと(SBIというらしい。シチュエーション、ビヘイビア、インパクトの略で、どんな状況でどんな行動をとって、どんな結果を招いたか。それらを記録しておくと客観的な通知ができる)。言い訳は話させて、ロジックのほころびを出させること。変なフォローを入れずに、相手と向き合うこと。いつもそれなりなあなあ面談しかしてこなかったけど、実は、なかなかに真剣勝負な場だったのだ。
 特に、耳の痛いことを伝えるってなるときには、いろいろと緊張もするだろうなぁ。想像するだけで消耗してしまうわい。。。

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 立ち位置的に、差し迫って必要な技術ではないけども、参考にはなった。上司の気持ちが想像できたのは、それなりに大きい。
 あと、自分の状況や行動も見直さなきゃならぬなぁ。2年弱で何を言うかではあるが、業務がコンフォートな状態になりつつあると感じている。どっちかというとスキルな方面で、もう少し伸ばしていく機会をつくりにいきたいところである。
 業務のコンフォートゾーン、ストレッチゾーン、パニックゾーンって分類も、わかりやすくていいもんだなと改めて思った。この年齢になると、自分がいるゾーンをどの辺りにしようかというコントロールもできる感触がある。それはそれでなんか変な感じだなと、我ながら思う。



m(_ _)m