meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

さよならPENTAX

 PENTAX、Kマウントを卒業しました。かなり気合いの要る儀式でした。
 なんてったって、はじめて一眼レフを買ったとき以来、ずーっと持ってきた相棒でしたから。それはもう、愛着の塊みたいなもんです。えーっと、2008年からだから、14年の付き合いですか。長かった。
 しかも、そのうちの10年以上をPENTAXのK-5で過ごしてきました。物持ちがいい、って話も行き過ぎておりまして、最後の2~3年ぐらいはシャッターが思うように動かず、撮っててもどかしいことも多々ありました。

 名古屋に住んでいたとき、まだ生活費も思うようにならなかったような時代に、思い切って買い集めたFA limitedやその他の単焦点レンズ群はとてもいい写真を生み出してくれました。わたしが持っていたFA limitedは77mmと43mmでしたが、APS-Cでもホントにキレイな写真を撮ってくれました。

 いつかフルサイズでこのレンズたちを使いたい、と思って早5年ぐらい。K-1が出たときに考えて、K-1mark2が出たときにも考えて、今回も勿論、PENTAXのフルサイズ化を検討しました。しかし、やっぱり、今は違うな、と。わたしが撮りたいのは、風景でもないし、ポートレートでもない。イベントやライブでの撮影も、もうしなくなって長い。そういう写真も撮りたいっちゃ撮りたいけど、振り返ればスナップばかりが積み上がっている。カメラを持ち出す回数が減っているのも大きな課題でした。

●◯。。。...

 GRにしよう、と何となく思い始めたのが今年のはじめ頃だったか。Kマウントをばっさり手放して元手をつくれば、手が届く範囲にくるんじゃないだろうか。そんなことを考えて、1度、ビックカメラに実機を見に行ってから、恐る恐るカメラの買取サービスを探しはじめました。正直、ろくな手入れもしていないレンズとカメラです。そんなに高値で売れるとも思ってませんでした。最終的にはマップカメラの下取りキャンペーンに出して、20%ほど上乗せがあっての68,000円ぐらい。それを使ってGRⅢの購入となりました。下取りキャンペーンがあってよかった。意外と高く売れたかなぁ、って感じでした。
 Kマウントは洗いざらい売っちゃえの勢いだったので、もうほぼ残っていません。1本だけ、貰いものの望遠マクロがあるのですけども、かなりのジャンク品でマップカメラに出すのも気がひけてしまったものです。今となっては出して処分してしまってもよかったなぁ、とは思いますが、まぁ、なんか遠慮しちゃいました。欲しい人がいたらあげます。
 5本のレンズとカメラ本体が1台なくなって、手元に来たのは小さなコンデジが1つ。かなりスッキリしました。今はGRの力に驚いています。まだまだ全然使いこなせていません。

●◯。。。...

 PENTAXはホントに写真の師匠みたいな存在でした。自動ではほとんどいい写真を撮らせてくれない。ピントがうまく合わない。露出はこちらで制御しなきゃいけない。色温度も調整が必要。おかげでこれぐらいの光だと、こんな感じの設定だよね、ってのが何となくわかるようになり、マニュアルモードで撮るが基本になりました。
 わたしは専門家でもなんでもないけれど、これってすごく大切な経験だと思っています。RAWで撮って現像で調整すればいいや、ってのもわかるんですが、こういう設定を手でやることも撮る楽しさの一部というか。何も考えずにシャッター押せばそれなりの写真が出てくる、ってな仕組みよりも撮ってる感があるというか。
 FA limitedの描写もそうで、レンズのクセに慣れなきゃいけない。撮影場所で数十回シャッターを切ってようやくその場所にレンズがあわさってくる、みたいな感覚も味あわせてもらいました。ハズすときはすっごいハズすのに、アタればオオアタリ!みたいなレンズでした。今でも人気が高くて、現役バリバリな値段で取り引きされているのも納得のレンズです。オススメです。
 正直なところ、フルサイズで使ってみたかった。そんな気持ちはあります。でも、数回でいいなぁ。所有し続けるほどじゃなくていいって感じてしまったのでした。

 そんなこんなで少し後ろ髪をひかれつつも、思うことは感謝です。ありがとう、PENTAX。GRだってRICOHだし、ちょっとは恩返しにもなるでしょう。使い込んでいきます。よろしく、GR。



m(_ _)m