meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

時間も場所も、がらりと変わっていたこと。

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 最近の起床時間は6時半前。のっそりと布団を出て、ふらふらした寝癖頭がトイレにむかう。ご飯を食べて、まぁなんとかそれなりの身なりまで整えたぼくが車に乗り込むのが7時半過ぎ。肌寒いを通り越して、今日も普通に寒い。エンジンを駆けながら、そういえば、1年前まで車通勤することなんて頭になかったなぁ、と思い返した。
 去年の今頃は、とっても難しい状況の中でもがいていた。たしか今の職場から内定の話が来る前で、転職活動も煮詰まっていて、かといって務める会社に居続けようとも思えず、これからどうするのか全く見えないまま、なんとか身体だけを動かしていた。朝は6時過ぎに起きて、6時50分ぐらいに家を出る。といってもなかなか起きれずに焦るのが1年前のモーニングルーティーン。起き抜けスグにヒゲを剃らないと身支度が間に合わなかった。
 毎日、名古屋まで行っていたのだ、という実感が薄れつつある。満員電車の中で座席を争ったことも、バスに揺られて寝こけていたことも、いつの間にか、とても遠くなった。4月からこっち、電車にも、バスにも乗っていない。

●◯。。。...

 昼休憩の時間には、ちょっと散歩に出るようにしている。ご飯を食べ終わったあと、運動も少しはせんといかん、というなけなしの良心も抱えて、外に出る。晴れた日はとてもすがすがしい。マスクを外して、山を見る。郊外の、平地と山地を切り分けるようにぐいっとそびえた山の形が、結構かっこいいなぁ、と思う。標高はそんなに高くないんだろうけど、ちょっと切り立った感じの急斜面が、険しい山感を醸し出している。
 敷地内を流れる川の周辺は、ちょっとした公園っぽい感じになっていて、緑が多い。頑張って歩けば、のどかな農道にも出ることができる。ここに来た当初は、この景色だけでも転職した甲斐ありやわ、なんて会話もした。春は桜が綺麗に咲いていた。
 5年前は島根にいて、10月はまだパートで働いていた頃で、やっぱり自然に恵まれた生活をしていた。歩いて5分の距離に職場があって、通勤経路は自転車ならギリギリ通れるかなってぐらいの細い抜け道だった。あの頃と比べると、今はだいぶと都市的な生活をしているだろうか。

●◯。。。...

 懐かしい、というよりかは、なんだか全然別の世界に来てしまったような気分になる。あまりにもがらっと環境が変わってしまったからだろうか。近所のスーパーがちょっとずつ古びて、そのうち新しいスーパーが近くにできたりするように、1つの場所が、徐々に変わっていく様子を見ていないからだろうか。切り替わりが激し過ぎると、時間の移りかわりがうまく把握できなくなるのかもしれない。
 島根時代、名古屋時代、のように、過去は自分の中でパッケージングされていく。そして、パッケージの中は標準化されて、圧縮がかかっていくような感覚にもなる。ガチャンっとパッケージが変わる。それにあわせて自分も変化していく。向かっている方向も、思想も、姿勢も。
 だとすると、過去の自分と今の自分は果たして同じ人間なのだろうか、なんて思えてしまう。やっぱりぼくは、住んでる場所や働いてる会社の雰囲気や、その他もろもろの環境をひっくるめて、人を考えるべきなんだろうなぁ、と思ってしまう。

 

m(_ _)m