meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

カスタマイズはほどほどに。ガンジガラメで動けなくなっていくシステム問題。

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 かゆいところに手が届く。そんなシステムがあったらいいけど、それもよしわるしというところだろうか。
 世の中は大量生産からオーダーメイドな時代に変わってきたけど、システムの領域に関しては、話は別だなぁ、と感じる。とりあえずぼくが関わってきたシステムについては、もうオーダーメイドはこりごり、という感触の方が強い。大量生産品でお願い!という声だって聞くのだから、世間一般とはちょっと事情が違うのだ。

●◯。。。...

 ぼくが関わってきたシステムは、だいたい10年もの以上の、まぁ、言葉は悪いがふるーいシステムであった。それらがつくられたのが、2000年代の後半あたりで、まだまだIT黎明期感があったのかもしれない。ひとつひとつの案件にスタンダードな解が用意されていなかったからかわからないが、なんだか当時の現場の要求に合わせてフルスクラッチでつくられていたりする。もしくは、かなりのカスタマイズを入れている。
 だから、失礼ながら見た目はすんごい古臭いし処理も遅くって新参者にはちんぷんかんぷんなシステムが、現場にとってはとっても使いやすい業務システムになっていたりして、これが大変に根の深い問題になっているってことが多い。
 得てしてそういうシステムは更新されることなくながーい期間使われていて、10年も経てばそろそろさすがに新しゅうせないかんならんとギリギリまで引っ張って遂に遂に更新しようという話になる。が、重い腰をあげて仕様書をつくりはじめた途端に、予算が不足する。
 だって、めちゃくちゃカスタマイズしてるもん。

●◯。。。...

 そのシステムの導入時にはお金があったのかもしれない。もしくは長年使用してきた期間に、少しずつカスタマイズが重ねられたのかもしれない。ともかくも、システムの根っこがあちらこちらに伸びてしまい、ヒゲ根のようになってしまう。これを引っこ抜くのは至難の業となる。
 業務の細かいところに、細かいアシストが効いているから使いやすいっちゃ使いやすい。だけども、古い。動作が重い。しかも、カスタマイズが足を引っ張って、システム自体のバージョンアップについていけなくなる。未だにWindows7とかVistaで動いてたり、IEしか使えなかったりして、にっちもさっちもいかなくなる。目の前にあるパソコンでは動くけども、そいつが壊れたときには替えがないのである。もちろん、セキュリティ的にもよろしくない。いや、よろしくないのレベルを超えている状態になる。

●◯。。。...

 さぁ、どうするか。システム的には袋小路。予算は足りない。時限爆弾は抱えていて、いつ爆発するかわからない。
 普通に考えれば、標準化された安いシステムを入れるべきだろう。いわゆるパッケージと言われるそれらは、大量生産品であり、それが故にバージョンアップにも対応しやすいし、サポートも充実している。ただし、かゆいところには手が届かない。正確に言うと、今の業務に合わないところが出てくる。
 ここがシステム更新時の山場である。業務のやり方を変えないといけないのだけれど、現場サイドはそれを嫌がる。長年使い込み過ぎたせいで、今ある機能を標準的な機能なのだと思ってさえいる。今やっていることは、当然に、次もやれるのだろうと考えている。新しいんだから、速くなるのは当たり前。さらに便利機能が追加されて当たり前。そんな感覚だったりする。厄介なのだ。

●◯。。。...

 それ、ほんとはオーダーメイドです。最新のバージョンでその機能追加しようとすると、イチから作り直さなきゃならないんです。お金も時間もかかります。その事情をわかってもわらなければならないから、しんどくなる。
 システムが人に合わせる分、人もシステムに合わせなきゃならないってのは、実は当たり前のことだと思うのだけれど、ただ使っているだけのユーザーには理解しづらいのかもしれない。
 ただ、人事にしろ、経理にしろ、営業にしろ、同じ業界であれば、ある程度の業務はどこの会社もそれほど変わらない。それを考えると、カスタマイズはその会社にとって「独特」の業務であることが多くて、よく見たらウチだけガラパゴスじゃんって話にもなる。そんな生態系を築き上げて、何を目指してるんだろうか、と思わなくもない。

●◯。。。...

 システムはまだ、プロダクトアウトの時代だと思う。マーケットインなのは一部の大企業のシステムだけでいいだろう。オーダーメイドは高い。もっともっとこの業界が成熟したならば、多様性に合わせたカスタマイズを飲み込んだビジネスになるのかもしれないけれど、まだだ。使用する側のリテラシーも技術も育成していかないと、そんな世界は迎えられない。
 今は黎明期の凸凹をなるべくならして、平坦にしておくべきなのだろう。

 

m(_ _)m