meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

本のこと

『福沢諭吉家族論集』盛大なる明治の男性バッシング

今年のBOOK在月という一箱古本市で、なぜか手元に転がりこんできた。キリのいい値段にするために選んだ「もう一冊」である。ざらーっと並んだ古本の中で、まぁ、どれか選ぶといったら、これだろうかというぐらいのテンションで選んだ。読むかどうかは、…

『人間にとって科学とはなにか』科学という宗教

キリスト教、イスラム教、仏教。世界三大宗教に、もうひとつを加えるとしたら、何にするだろうか。人口が多そうだから、ヒンドゥー教か。いや、ここは変化球で考えた方がおもしろい。宗教の意味を広げて捉える。信仰と思えば、民主主義だってひとつの宗教の…

『中国山地 過疎50年』。。。

最近ぐっと寒くなってしまって、ヒートテックのインナーを着るかどうか、まだはやいか、まだはやいか、踏み切るか、いやいやまだまだ、などと悩み込む季節になってきた。半袖はすっかりお役御免である。一気に衣替えするのも億劫で、物置の中から長袖を1枚…

『貨幣の思想史』お金とは何か。お金にはなぜ価値があるのだろうか。

だいたいいっつも忘れているのだけれど、わたしがNPOだとか、ソーシャルだとか、そういう世界に足を突っ込んだのは「お金」がきっかけだった。その当時はリーマンショックがあって、どうこう、なんやかんや、というのはよく職務経歴書に書く詭弁である。…

『苦海浄土』と。

読み終えた。実は1ヶ月程前には読み終えていた。だけども、なかなかに身体が重く、書く気になれなかった。水俣病という内容にずどーんとやられて、タジタジしてたわけではない。いや、やられたにはやられたのだが、とにもかくにも、最近は筆が重いのである…

『レトリック感覚』発見する比喩、発展して物語。

文体が気になりはじめたのはいつ頃だったか。レイモン・クノーの『文体練習』を某NPO代表からすんごい長い期間借りっぱなしにしていたときには、まだ、そんなに気にしていなかったと思う。ただ、その頃から、ぼくは鬱屈していた。書いても、書いても、届…

『技法以前』あの頃の世界観を引き出しておく読書

この春、大学を卒業する友達に本を贈った。彼の何がスゴイって、自分の卒論を窓口やってるオッサンに手渡したことだ。提出場所が窓口だったわけじゃない。ある日、さらりと現れて、どうぞ、と言って、わたしの手にはプリントアウトされた卒論が残った。たぶ…

『おせっかい教育論』まぁ、ぼく、おっせかいなおばちゃん苦手やけどね。

久しぶりに内田樹さんの本を読みたいと思って手に取り、スグにその内田ワールドな論理展開にスッとした気分が少し。読み進めていくにつれて明らかになってきたのは、自分が内田樹的な世界から離れてきたのだということだった。 ●◯。。。... 内田樹さんの言葉…

『希望の国のエクソダス』村上龍の先見性と、問題提起。

再読である。といっても、前に読んだのはたしか2009年ぐらいのことで、そう考えるとおよそ8年ぶりぐらいに読んだことになる。内容はすっかり忘れていた。 でも、なぜか出会いは覚えている。当時、経済ってものが信じられなくなったぼくは、なんだかどう…

『ハーメルンの死の舞踏』お金が巡り、ねずみがはびこる。

晴れた休日で、時間があるならば、カフェに行きたくなる。特に冬は日照時間が短いから、日差しはとても貴重なのだ。家でぐっと休みたいなという気分でも、家でえいやっと作業を仕上げたい日でも、ちょいと外に出よう、ちょいとカフェにでも立ち寄って、ゆっ…

経済を否定しないこと。【BOOK在月 一箱古本市】

個人的に怒涛の10月が過ぎて、気がつけば11月になっていました。その間にひとつ歳もとってしまい、アラサーも第四コーナーをまわってきた感じです。こんな年齢になるとは思っていなくて、それでも生きていればこうなっちゃうってわけで、如何ともしがた…

『暮しの手帖』。。。おそろしい子!

土曜の午後。友達に会ったあと、ふらりと「古本 冬營舎」に寄ってみる。いつの間にかレイアウトが変わっていた。入って、左手に雑誌、真ん中に座席、右側に単行本などなど。雑誌コーナーの真ん中には『暮らしの手帖』の二世紀が積んであった。 ちゃんと読ん…

『第2図書係補佐』妙に読みたくてうずうずする本。

関西弁が好きだ。関西のノリが肌に合っている。というか、好きなのだと思う。 ぼくが大阪に通っていたのは浪人時代のことで、関西弁はその頃、予備校の友達に叩き込まれた。「できない」のことを「できやん」と言ってたら、「できへん」もしくは「できひん」…

「古本 冬營舎」に行ってみた。

暑い。晴れてはいるが、湿度が高い。梅雨である。有給をとったぼくにはいくつかのミッションがあった。ところで、有給って、有給なのか、有休なのか、どっちなんだろう。いっつも迷う。どっちか知ってる人がいたら教えて欲しい。たぶん、どっちでもいいんだ…

古本と戯れ、電子書籍を想う。

お手伝いで呉に行ってきました。ブックフェスということでして、一箱古本市とか、ビブリオバトルとか、そういう本関係のイベントを味わう一日でした。曽田文庫の出店を手伝ってみたわけですが、相変わらずのヘロヘロ体力でして、そんなに何かできるわけでも…

『非常時のことば』掘っ立て小屋のような文章の美しさよ。

源ちゃんといえば、高橋源一郎のことであって、NHKのラジオ番組「すっぴん!」のリスナーには「源ちゃんの現代国語」とかでお馴染みである。ということは、わたしも「すっぴん!」リスナーであって、高橋源一郎については文章より先に声を知った。もうす…

『下り坂をそろそろと下る』そろそろと、その下り坂を踏みしめるように。

話題になっていたのもあって、読みはじめた。読みはじめたものの、途中で気分が悪くなってしまった。焦りとか、危機感とか、そういったものがむくむくと、やたらに自分の中に湧いてきたように思う。 よくわからない感覚を抱えて、どうにも消化しきれず、少し…

『一九八四年』「Aであるが、Aでない」を飲み込めるか。

「ま、過去も変えられるんだけどな」と、あのときの社長は言った。社会人になって、初めて勤めた会社でのことだ。なんで、覚えてるのかはわからない。妙なことだなと感じたのだろう。未来は変えられる。それならわかる。でも、過去も変えられるという。どう…

『サラバ!』ぼくは自分の足で立っているのだろうか。

小説読書が続いている。小説づいているようで、今はとにかく物語を読みたい気分なのだろう。『サラバ!』はひょんなことから家に来た。借り物だったから、手元にあるうちに読んでしまおうと思った。前半はなかなか進まず、後半になってやっとペースが上がっ…

『ベイジン』福島以後に読む「中国で原発をつくるとこうなる」

読もう読もうと思って積ん読だった長編小説の2つ目を読み終えた。真山仁の『ベイジン』である。企業小説とか、ビジネス小説ってジャンルになるのかな。わりと男の闘い、って感じのする小説だった。 ひと言でいってしまえば「中国で原発つくるとこうなる」っ…

『封神演義』久しぶりに味わった、あっちの世界。

久しぶりに『封神演義』を読んだ。といっても、安能務訳の三巻本だから初めて読んだとも言える。こういうややこしい話にもなるから、翻訳本はおもしろい。『封神演義』と言えば藤崎竜の漫画がたぶん一番有名であって、ボクの世代なら結構な人数が読んでいた…

本を読むときには「声」が聞こえるもんだと思ってた。

朝遅くにのろのろと起きだし、午前は久しぶりに走ってえらく疲れ、シャワーを浴びて朝ごはんとも昼ごはんともつかないホットケーキをつくったはしからむしゃむしゃ食べる。午後に入って、少しだけ家事をする。あとはだいたい『封神演義』を読んでいた。あた…

『あの日』小保方靖子。わたしたちは確定しない世界とどう付き合っていくのか?

『あの日』を読んでみた。なぜか、湯川秀樹の自伝『旅人』を読んだ日に続けて小保方さんの手記を読むという、妙な1日を過ごしてしまった。湯川秀樹は「湯川秀樹」。小保方さんは「小保方さん」。この書き方にも、わたしの感触の違いがあらわれてしまうのだ…

『地域ではたらく「風の人」という新しい選択』。物語は、流れるから絡む。

わたしにとっては驚きの良書でした。まさかここまでしっかりと作り込まれているとは思ってなくて、いや、これは失礼な予想をしてしまってました。すみませぬ。なんとなーく、きれいにつくってあるから読んでみるかぁ、ぐらいのテンションで買ったけども、掘…

『弱いロボット』。わたしたちは欠けているからつながれる。

図書館で見かけたときには、どこに分類されていたっけ。確か、情報学とか、インターネットとか、そんな並びにちょこんとあった気がする。『弱いロボット』。はて、と思って手にとったら、医学書院のシリーズ「ケアをひらく」だった。これは読まねばなるまい…

私設の民間図書館「曽田文庫」にいってきた。(というかボランティア1日目)

暑いですな。今日は松江も猛暑日になったのではないでしょうか。お昼ごろにウェザーニュースを見てみたら、境港市が35度との表示。さもあらん。スカッと晴れて気持ちはいいのだけれども、さすがに喫茶店に入りました。シューっと身体から熱が抜けていきま…