meta.kimura

感情の率直と、思索の明澄と、語と文との簡潔とです。

本のこと

『抑圧のアルゴリズム』サフィア・U・ノーブル

『抑圧のアルゴリズム』を読んだ。検索エンジンも、メディアだったのだなという、とても当たり前のことを見逃していた。そうか。Googleだって、純粋無垢なエンジニア集団じゃないのだ。ITの、シリコンバレー的な、オープンで多様で自由な価値観も、ひとつ…

土地を知ること。

図書館で見かけた『輪中』を読んだ。なんだかだいぶと古く、わりとハードな内容だった気がするが、それなりのスピードで読み切ってしまった。こういうのはたまにある。個人的には掘り出しものだったなぁ、と思う。 この地域に住んでいると、輪中の問題は避け…

『暇と退屈の倫理学』國分功一郎

有給を取ったのだけど、結局何もせずにこの時間になっている。午後4時。いくつかの動画をyoutubeで眺めて、Tverでワンピースをひとつ見た。どれも暇つぶしのようなもので、何を得たわけでもない。夕方から天気は下り坂と聞いて、昼前にはランニングも済ませ…

『麒麟児』冲方丁

久しぶりにバランスのいい小説を読んだ、気がします。なんというか、あんまり軽過ぎず、かといって重くもない感じの、ちょうどいい小説です。麒麟児。冲方丁を読むのはこれで2作目。『天地明察』は面白かった。●◯。。。... 麒麟児は、勝海舟のことで、西郷…

『ドーン』平野啓一郎

コロナでうなされながら、読んだ。なかなかに分厚い。500ページ近くあるから、長編小説、と言っていいだろうか。こんなに長い物語を読み切るのは、久しぶりだ。2年ぐらい前に読んだ『白い巨塔』以来かもしれない。読了後の読んだった感はすごい。 ただ、読…

『なぜ科学を学ぶのか』池内了

これもクラウド積ん読本だった。『国家を考えてみよう』を読んだ勢いで、こっちの積ん読も読んでおこうかと思って、ざっくり読んだ。正直、おもしろい、というものでもなかった。中学生とか、高校生向けに書かれているからだろう。 これから科学を学ぼうとす…

『国家を考えてみよう』橋本治

Kindleに入っていた本。随分前に、たぶん何かのフェアで安くなっていたのだと思う。買ったまま、いつか読むかな、ってぐらいのテンションでKindleに眠っていた。クラウド積ん読ってやつらしい。そういう話であれば、クラウドの上にもたくさん本が積まれてい…

『1冊読み切る読書術』齋藤孝

まぁ、読まんでもよかった。けど、読んでもよかった。そんな本。 久しぶりに齋藤孝さんの本が読みたくなって、図書館で何となく検索して、何となく手にとった。出版年も新しくて、読みやすそうだったってのもある。実際には、読みやす過ぎて、もうちょっと手…

『わたしたちの生活保護』 石黒好美編著、白井康彦監修

友人が本を出した、ってことで読んでみた。なんか、こういう話がちょいちょい出てきていて、みんな活躍するようになったんだなぁ、と眺めている。 実際、ぼくも大概おっさんになっていて、ぼそぼそと事務やりつつ、それなり呑気に日々を過ごしているが、周り…

『みんなのビッグデータ』ネイサン・イーグル+ケイト・グリーン著

ドミニク・チェンが監訳ってことで、ちょっとおっとなって手にとった。まぁ、こういう系のテーマで読みやすそうなものを探していたのもある。結局、読みやすいってだけで、あんまり得るものがあるわけでもないんやけど。 にしても、ビッグデータって言葉はど…

『空間のレトリック』瀬戸賢一

読み始めたら止まらないのが、活字中毒期なもんで、なんだかんだと手にとって散らかしてしまう。そんでもって、この記事も「書き散らし」になる。「書き散らし」、この表現もメタファーであって、つまりは比喩だ。このメタファーってやつは、とっても奥が深…

『予測学』大平徹

一時的活字中毒期が来たようである。なんだかとりあえずのべつまくなしに読みたくなって、図書館に通っている。なんとなく目的の本と、目についたなんか気になる本を借りて帰る。普段なら読んだり読まなかったりなんだけど、こういうテンションになったとき…

『断片的なものの社会学』岸政彦

10月ってこんなに暑かったっけ? まだ半袖を着ていることがなんだか不思議で、たしか、去年のこの時期はもうそろそろデータベーススペシャリストの試験が迫っていて、試験の日には無印のパーカーなんかを着ていた気がする。この土日も、予想気温が30度とかに…

『AIに負けない子どもを育てる』。できれば大人も育ちたい。

『AI v.s. 教科書が読めない子どもたち』の続編、と言っていいだろうか。まぁ、続編である。前作が大きな話題になった。教科書が読めない子どもたちが、意外と多い。というか、大人も含めて、文章が読めない人がたくさんいる。そんな問題提起をした本で、ぼ…

『7つの習慣』を読んだ

『7つの習慣』を読んだ。今更、読んだ。今更だなぁ、と思って、やっぱり今更だったなぁ、と思った。知ってる人はだいたい知ってるし、知らない人があんまりいないんじゃないかなぁ、ってぐらいのビジネスマンバイブルである。大学生ぐらいのときに読んでお…

論理の基礎にあるのは倫理だったのか、という話。

ロジックってのをあんまり信用していない。意外と理系頭脳のわたしがそんなことを言うのを変に思う人もいるかもしれませんが、ロジック、論理、ってのがどうもしっくり当てはまっている気がしないことがちょいちょいあるのも事実なんです。だって、論理って…

『白い巨塔』山崎豊子 ※若干のネタバレ含む

年末年始の課題図書に選んでいた『白い巨塔』を、先週末辺りに読み終えた。長かった。続編もあわせて全5巻。読みやすかったし、引き込まれることもあったとはいえ、さすがのボリュームだった。その分、歯ごたえもしっかりあった。 言わずとしれた名作である…

本は安いときに大量に買う

筑摩書房が創業80年ってことで、Amazonで電子書籍がやたらに安くなっていた。80冊安くなってるらしく、ラインナップを眺めるにだいたいがちくま新書で、中にちくまプリマー新書が混ざっている。1冊150円ぐらいでなかなかに手が出る価格だった。ふむふむとし…

『飛びすぎる教室』清水義範・西原理恵子

何を読んでいるんだか、ってな感じ。 2月の初め頃だったか、高橋源一郎の講演があるってんで、美術館に行った。その内容はまぁ、置いておいて、やっぱり読書の話は出るわけである。自然、帰りに寄るのは本屋さん。いや、前から欲しい本があったから寄ったん…

『凡人のための地域再生入門』木下斉

『凡人のための地域再生入門』を読んだ。看板に偽りあり。タイトルにひかれて読もうと思った人にはオススメしない。地元がヤバいかもしれん、と思った一般ピープルができることについては、ほぼ、書かれていない。書かれているのは、凡人っぽい人がスーパー…

『生活者の平成30年史』博報堂生活総合研究所

生活総研は昔から好きで、たまにWebサイトを眺めている。データがたくさんあって、グラフがキレイで、ちょっといいことっぽいことが書いてある、あの感じ。特にそのデータを使ったことも、使えそうなグラフを見つけたこともないのだけれど、つまりはとっても…

『いつかいた場所』酒井咲帆

ちょっと手に入りづらい写真集かもしれない。ぼくは大阪だったかの本屋さんが運営している「雲の生まれるところ」というオンラインストアで買うことができた(ちなみに、これを書いている時点で在庫数は1になっている)。先に言っておくが、名著というわけ…

日本の価値観は変わったのか問題。

諸事情あって、『下り坂をそろそろと下る』を読みました。けっこう久しぶりの再読。話があっちこっちにいっているなぁ、という感触は前と変わらずでしたが、やはり、感じ方は変わるもので。昔ほどヘビーなボディーブローを受けずに、どちらかといえばスイス…

『ヒトニツイテ』五味太郎 ― ヒトッテヤツハ・・・

五味太郎の本を買った。ぼくの中で五味太郎と言えば『ことわざ絵本』であって、小学校低学年とかそれぐらいの時期に、何度も何度も読み返したものであった。すっごい好きというわけではなかった。ただ、なんというか、そのテンションがクセになる。時間があ…

本を「読む」ということは、どういうことなのだろうか?

ゴールデンウィークの初日は、部屋の模様替えと、プランターの世話と、ちょっとした断捨離と、掃除と、昼寝で過ぎていった。家事の合間に、レイ・ブラッドベリの短編を挟む。ぐ、ぐ、と踏みしめていくように、『10月はたそがれの国』を読み進める。ひとつひ…

『無限論の教室』野矢茂樹 − ロジックってやつに蹴りを入れたい

『無限論の教室』を読んだ。なんで読もうと思ったのかは、よくわからない。ただ、野矢茂樹さんの本がKindleで安くなっていたから、手が出てしまったとも言えるし、いやいや、何かこの手の本を読んでみたい欲に支配されていたのかもしれない。実用的な本ばか…

思ったことを、思ったように書く、難しさ。

文章を書くときに、Delete(WindowsならBackSpace)を使わないことはない。なに、文章の崩れを気にすることはない、と割り切ってズラーッと書いてはみるのだけれど、それでだって、いつも頭の中で、この表現はどうだろう、ああうまい言葉が思いつかない、な…

『翻訳夜話』 村上春樹・柴田元幸

村上春樹は嫌いだ。と、思っていた。文章がまだるっこしいし、そのうち何を読んでいるのかわからなくなるし、結局どういう話だったのかもピンとこない。読んでいるうちに字面をずーっと追っかけるだけになってしまう。だから、ぼくはハルキストにはなれない…

電子書籍、大活躍する。

ここにきて、満を持して、電子書籍が大活躍である。 岐阜から名古屋までの通勤が始まってスグに、電子書籍の価値が異様に高まった。なんて便利なのか。ライフスタイルが変わると、モノの価値も大きく変わるものらしい。 松江に住んでいたときには電子書籍な…

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』と、申請ができない学生たち

春が近づいてきた。年度末である。少しずつあたたかくなるこの季節。昔は秋がいちばん好きだったのだが、ここ数年、一気に春の株が上がっている。寒さが緩む。日が差す。世界が明るくなる。とても気持ちがいい。 ●◯。。。... さて。そんな季節に恒例となって…